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リーダーのパラダイム~意識と行動、どちらが変えられる?

管理職の方向けコーチングでよく話題に上るテーマです。

 

以前、こうした相談がありました。

(相談者)
部下の育成に悩んでいます。
顧客への対応や社内メンバーへの対応が雑なのですが、根本に意識面に課題があるのでどうしたものかと・・・。
具体的には顧客指向性、ホスピタリティ的なところが足りていないです。
何か指導をしても「でも・どうして」の連続で、扱いづらい気がします。理屈先行というか。
こういったタイプの子はなかなか指導しづらく感じます。


皆さんならどうアドバイスするでしょうか?
私は例によって理解に徹しました。

(私)
意識面の課題があると感じているのですね。
部下の方は指示・指導に明確さを欲している、弁別性が高い方に感じました。
逆を言えば、しっかり理解してくれたら動いてくれそうですね。


しばらくすると以下のような自己分析をリーダーがしてくれました。

(相談者)
うーん、、私の前の職場は体育会系気質で、精神論で事足りるというか、私もそう育てられたんですよね。
そうか、このアプローチだとうまく行かないのですかね。。。私自身、マネジメントの引き出しが足りていないのかもしれません。


そして私

(私)
以前の職場が体育会系気質ということは、ある程度同じ価値観や文脈を共有したチームだったようですね。
そうしたチームであれば精神論というか、ざっくりとした指導でも効果が上がりそうですね。

一方、部下は意識という抽象的な話ではなく、もっと具体的で明確なものを求めているように感じますね。

そこにギャップの存在を感じます。

発達心理学の世界では、Being(意識)とDoing(行動)の成長においては、まず具体的な行動を学んで、
それを介して意識を変えていくという学習経路が効果的だというのが定説らしいですよ。

こうした指導の方が、その部下の方にフィットしているようにも感じました。

あくまで私の意見ですが、どう思います?


・・・その後、彼は”顧客指向・ホスピタリティーが発露された具体的な行動”を明確に定義した上で指導に当たることに決めました。
何よりも、自身のマネジメントにおけるある種のパラダイムに気づき、視点を変えられたことに手ごたえを感じているようでした。
「リーダーのパラダイム~意識と行動、どっちだったら変えられる?」について書きましたがいかがでしょうか?
このケースは「意識を変える」というアプローチだけに視点が寄っているリーダーの方でした。(たぶん、ちょっと拡散性高めかなという印象)
マネジメントにおける自身のパラダイムを意識化すること、そして、メンバーの特性・持ち味を理解した上で適切に働きかけることの重要性を知っていただけたら幸いです。
あと、具体的な行動から変えてもらうアプローチはティーチングには有効ですよ。弁別性高い子は特にぐんぐん習得してくれます。
ちなみにコーチングは意識から変えるアプローチですけどね。

拡散性