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課題を明確にする

コーチングの場では具体的な業務上の課題を扱うこともしばしばあるのですが、その時に私が心がけているのは”掘り下げ”です。
この掘り下げを通じて解決の糸口を見つけて返っていただくことはとても多いのですが、私のコーチングを経ずともそれができるようにコツをお伝えします。
と言っても単純な話で、「”なぜ?”を問えなくなるまで課題を探求する」です。
具体的にケーススタディ形式で示してみましょう。
あるリーダーが部下の育成に悩んでいる場面とします。質問をしているのは私という想定です。
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【課題の分析と施策導出にいたるコミュニケーション】
※以下は仮名かつ架空のケースです。念のため
①山田君の予算未達の継続が課題
 ↓なんでそうなるの?
②山田君の達成へのこだわりが弱い
 ↓具体的にはどんな行動?
③山田君は考えすぎて行動が遅くなることが課題
 ↓なんでそうなるの?
④山田君が 考えすぎて行動が遅くなっていることに気づいていない
 ↓ なんで気づかないのかな?
⑤山田君が 考えすぎて行動が遅くなることに対して、直接の上司が納得いく説明ができていないことが課題
 ↓どうして説明できていないの?
⑥山田君の上司の高野君が、上から押さえつける態度で山田君の納得度を醸成できていない。高野君の過剰な指示的マネジメントが課題
 ↓ 高野君はどうしてそうしたマネジメントをしているの?
⑦高野君は結果を出すためには指示的マネジメントが大事だという信念を持っていることが課題
 ↓ ということはまとめると・・・
山田君は高野君の過剰な指示的マネジメントに納得いっておらず、悶々と考え込んでしまって行動が遅くなっていた。
背景には山田君と高野君の関係性の問題、もっと言えば高野君の指示的マネジメントという信念が存在している。
ということですね。
 ↓ 解決策の方向性は?
高野君の指示的マネジメントの信念を緩和し、適切なマネジメントレベルを実現し、山田君の自主性を促しながら行動量を担保すること。
具体的には日次のアクション指示については高野君から山田君へ指示を出すのではなく、山田君から高野君へ提案し、その承認を受ける流れに変更
 ┗山田君の意思を入れることで自主性・納得度を高める
 ┗山田君自身の考えと高野君の考えをすりあわせ一致させていくことで、高野君の指示的マネジメントに対する信念をだんだんと緩和していく
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いかがでしょうか?
ここで皆さんに考えていただきたいのは、皆さんが通常①~⑦のどこまでのレベルで課題を捉えているかなんです。
「②山田君の達成へのこだわりが弱い」のレベルで留まっていれば、施策は「達成のためのモチベーションを上げさせる」になる可能性が高いですね。
そうすると、山田君の上長である高野君との関係性の課題は解消されないままです。これで問題は解決するでしょうか?
短期的には山田君は奮起するかもしれませんが、長い目で見ると同じ問題が起こるでしょう。
課題を解決するためには、根っこに到達することが不可欠なんです。
当たり前と言えば当たり前のことですが、案外普段の思考は①~③レベルに留まっているものです。
こういった掘り下げを意識していけば、問題解決のスピードは飛躍的に上がりますから、ぜひ試してみてくださいね。